2018年3月3日土曜日

マノン・レスコー①


マノン・レスコーは、アントワーヌ・フランソワ・プレヴォー(1697-1763)によって1732年に作成された恋愛小説である。 
僕が最も愛する書物の一つである。しっかり考察するため、マノン・レスコーについては、何度かに分けて考察したい。
初めて読んだのは、僕が大学2年生、19歳の時。神戸市立図書館で、研究の合間・授業の合間の平日に行ったのか、それとも休日に行ったのかは覚えていないが、世界文学を読むという簡単な説明本に書いてあった、マノン・レスコーを読んでみたいと思い立って、蔵書を検索したのが初めだ。
蔵書は1階の通常のスペースには置かれておらず、書物庫からわざわざ持ってきてくれたマノン・レスコーはとても古く、大体A4版くらいの大きな黒い図鑑のような本だったように思うが覚えていない。
窓際の日が差し込む席に座り、ぼくはその本をペラペラとめくり始めたのだ。気が付いた時には夕方になっていた。熱中し、その時に一気に読んでしまった。
理想の女性がそこにはいた。
僕には、マノン・レスコーが理想だった。マノン・レスコーは、高校生の時に愛していた彼女とものすごく類似しているように感じた。それ以降も僕は、マノン・レスコーが女性像のイデアだと考えている。
さて、好きな本が何かと友人に聞かれることが多かったため、僕は、マノン・レスコーを当然のように紹介したのだが、それは僕が読んだ本ではなくて、新潮文庫であった。僕は新潮文庫のマノン・レスコーを読んでいなかったため、自信を持ってオススメをすることができなかった。なんとなく、中身を眺めると、なんとなく異なった印象を抱いていた。
いつか、神戸市立図書館に眠っているマノン・レスコーと同じものを購入しなくてはならない。その心持ちで生きてきた。
2018年1月7日、三ノ宮にある紀伊国屋書店で、カフカの変身と、ホフマンのくるみ割り人形を探していた。光文社文庫の古典新訳シリーズの装丁が気に入っていたから、それを買おうかと思案していた。
そこで、見つけたのが、マノン・レスコーだった。驚くべきことに、第一版は2017年12月20日出版だった。これは買うしかない。そして、今に至るわけである。
本を再読するという経験は僕はほとんどない。勉学になってしまうことが多いからだ。
しかし、この本は再読の価値がある。まだ途中ではあるけれど、ことこまかに評価したいと心から願っている。

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マノン・レスコー②

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